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Nobel Peace Prize 1901–2025 / 世界の知恵

この道を、125年歩いてきた人たちがいる。

世界平和へのロードマップが引く125年の系譜を、原典で確かめるための資料集です。
ノーベル平和賞は125年にわたり、平和のために最大・最善の貢献をした人と団体に贈られてきました。
先人たちの声と、その全受賞者を、時代ごとに開いてご覧ください。

Voices 先人たちは、平和に「何が必要だ」と言ってきたか(8人の声)

アルフレッド・ノーベル

ノーベル平和賞の原点
必要なもの:国家間の友愛

遺言でこの賞に託された条件は、国家間の友愛と、軍備の削減、そして平和会議の開催への貢献。ダイナマイトの発明者が最後に賭けたのは、武力ではなく、関係と対話でした。

ダライ・ラマ14世

1989 受賞
必要なもの:内なる平和

世界の平和は、一人ひとりの内なる平和からしか育たない、と語り続けています。外側の軍縮の前に、内側の武装解除を。認知から始めるこのロードマップにとって、最も直接的な先達です。

ネルソン・マンデラ

1993 受賞
必要なもの:敵と共に働くこと

敵と平和を築きたいなら、敵と共に働くこと。そうすれば敵はパートナーになる——27年の獄中の後、報復ではなく対話で国をつくり直した人の確信です。教育を「世界を変えるための最も強力な武器」とも呼びました。

デズモンド・ツツ

1984 受賞
必要なもの:赦し

真実和解委員会を率いた大主教は、著書の題のとおり「赦しなくして未来なし」と説きました。赦しは弱さではなく、未来を可能にするための現実的な技術である。土台には、人は他者を通じて人になるというウブントゥの思想があります。

ワンガリ・マータイ

2004 受賞
必要なもの:公正な資源と民主主義

植林運動から平和賞に至った彼女は、資源の枯渇と不公正な分配こそが紛争の火種であり、持続可能な環境と民主的なガバナンスが平和の条件だと訴えました。平和と環境と民主主義は、切り離せない一枚の布です。

マララ・ユスフザイ

2014 受賞
必要なもの:教育

「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一本のペンが、世界を変えられる」。銃撃されてなお、武器ではなく教育を選び続けている彼女の人生そのものが、この言葉の証明になっています。

日本被団協

2024 受賞
必要なもの:証言と記憶

広島・長崎の被爆者たちは、自らの痛みを語り続けることで「核兵器は二度と使われてはならない」という規範を世界に育ててきました。証言という対話の力が、最大級の暴力への抑止になっています。

リーマ・ボウイー

2011 受賞
必要なもの:対話のテーブルに全員を

リベリアの内戦を終わらせた女性たちの運動を率いた彼女は、和平の席から排除されてきた人々——とりわけ女性——が対話のテーブルにつくことこそ、持続する平和の条件だと示しました。

分野は違えど、先人たちが口を揃えて指しているのは、兵器や条約という「外側」だけではありません。友愛、内なる平和、赦し、教育、証言、対話のテーブル——つまり人の内面と関係の側です。この宿題を市民の日常で引き受けようとするのが、このロードマップの試みです。

1964

「非武装の真実と、無条件の愛が、最後には勝つ」

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

米国 ── 非暴力による公民権運動(受賞講演より)

1974

核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」──非核三原則を国是として掲げた。

佐藤栄作

日本 ── アジア初のノーベル平和賞受賞政治家

1979

「平和は微笑みから始まる」──まず、いちばん身近な人から。

マザー・テレサ

インド ── 最も貧しい人々への奉仕

2008

「すべての紛争は、解決できる」

マルッティ・アハティサーリ

フィンランド ── 30年にわたる国際紛争の調停

2021

「事実なくして真実はなく、真実なくして信頼はなく、信頼なくして民主主義はない」

マリア・レッサ

フィリピン ── 事実に基づくジャーナリズムと表現の自由(受賞講演より)

2025

民主主義は、平和に不可欠である──自由のために闘う覚悟を持って。

マリア・コリーナ・マチャド

ベネズエラ ── 民主的権利の促進への「類いまれな勇気」(受賞演説・要旨)

歴代受賞者 全リスト(1901–2025)

時代ごとに開いてご覧ください。戦争や政治情勢により、受賞者が選ばれなかった年もあります。
その空白もまた、平和への道のりの一部です。

1901 – 1945 二つの世界大戦の時代 ── 国際協調の模索
1901アンリ・デュナン(スイス)/ フレデリック・パシー(フランス)赤十字の創設/国際平和運動の先駆
1902エリー・デュコマン / シャルル・アルベール・ゴバ(スイス)国際平和ビューローなど平和運動の組織化
1903ウィリアム・ランダル・クリーマー(英)列国議会同盟による仲裁の推進
1904国際法学会国際法による紛争解決の基盤づくり
1905ベルタ・フォン・ズットナー(オーストリア)『武器を捨てよ』── 平和賞創設を促した作家
1906セオドア・ルーズベルト(米)日露戦争の講和仲介
1907エルネスト・テオドロ・モネータ(伊)/ ルイ・ルノー(仏)平和運動と国際法
1908クラス・アーノルドソン(スウェーデン)/ フレドリック・バイエル(デンマーク)北欧における平和・仲裁運動
1909オーギュスト・ベールナールト(ベルギー)/ P.デストゥルネル・ド・コンスタン(仏)国際仲裁と軍縮外交
1910国際平和ビューロー各国平和団体の連絡組織
1911トビアス・アッセル(オランダ)/ アルフレート・フリート(オーストリア)国際私法会議/平和ジャーナリズム
1912エリフ・ルート(米)仲裁条約による紛争予防
1913アンリ・ラ・フォンテーヌ(ベルギー)国際平和ビューロー会長
1914–16受賞者なし(第一次世界大戦)
1917赤十字国際委員会(ICRC)大戦下の捕虜・傷病者の保護
1918受賞者なし
1919ウッドロウ・ウィルソン(米)国際連盟の創設
1920レオン・ブルジョワ(仏)国際連盟の理念的立役者
1921ヤルマル・ブランティング(スウェーデン)/ クリスチャン・ランゲ(ノルウェー)国際連盟と列国議会同盟
1922フリチョフ・ナンセン(ノルウェー)難民支援 ──「ナンセン・パスポート」
1923–24受賞者なし
1925オースティン・チェンバレン(英)/ チャールズ・ドーズ(米)ロカルノ条約/ドーズ案による欧州安定
1926アリスティード・ブリアン(仏)/ グスタフ・シュトレーゼマン(独)独仏和解(ロカルノ条約)
1927フェルディナン・ビュイソン(仏)/ ルートヴィヒ・クヴィデ(独)独仏の市民レベルの和解運動
1928受賞者なし
1929フランク・ケロッグ(米)パリ不戦条約
1930ナータン・セーデルブロム(スウェーデン)宗教間対話による平和運動
1931ジェーン・アダムズ / ニコラス・バトラー(米)婦人国際平和自由連盟/国際協調の推進
1932受賞者なし
1933ノーマン・エンジェル(英)『大いなる幻影』── 戦争の不合理を説く
1934アーサー・ヘンダーソン(英)世界軍縮会議の議長
1935カール・フォン・オシエツキー(独)ナチス下で軍備増強を告発したジャーナリスト
1936カルロス・サアベドラ・ラマス(アルゼンチン)チャコ戦争の和平仲介
1937ロバート・セシル(英)国際連盟の擁護者
1938ナンセン国際難民事務所難民保護の国際機関
1939–43受賞者なし(第二次世界大戦)
1944赤十字国際委員会(ICRC)大戦下の人道活動(2度目)
1945コーデル・ハル(米)国際連合創設への貢献
1946 – 1989 冷戦の時代 ── 人権・軍縮・和解の担い手たち
1946エミリー・グリーン・ボルチ / ジョン・モット(米)女性平和運動/YMCAによる国際融和
1947フレンズ奉仕団(英・米)クエーカーによる戦後救援
1948受賞者なし(ガンディー暗殺の年 ──「ふさわしい存命の候補者がいない」として)
1949ジョン・ボイド・オア(英)FAO初代事務局長 ── 飢餓と平和
1950ラルフ・バンチ(米)第一次中東戦争の停戦調停
1951レオン・ジュオー(仏)労働運動を通じた平和
1952アルベルト・シュヴァイツァー「生命への畏敬」の哲学と医療実践
1953ジョージ・マーシャル(米)マーシャル・プランによる欧州復興
1954国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)難民の保護
1955–56受賞者なし
1957レスター・ピアソン(カナダ)スエズ危機 ── 国連平和維持軍の発案
1958ジョルジュ・ピール(ベルギー)難民支援活動
1959フィリップ・ノエル=ベーカー(英)軍縮への生涯にわたる献身
1960アルバート・ルツーリ(南アフリカ)アパルトヘイトへの非暴力抵抗
1961ダグ・ハマーショルド(スウェーデン)国連事務総長 ── 唯一の死後受賞
1962ライナス・ポーリング(米)核実験反対運動 ── 2つのノーベル賞を単独受賞
1963赤十字国際委員会 / 国際赤十字・赤新月社連盟赤十字100周年
1964マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(米)非暴力による公民権運動
1965ユニセフ(国連児童基金)子どもたちへの支援
1966–67受賞者なし
1968ルネ・カサン(仏)世界人権宣言の起草者
1969国際労働機関(ILO)労働を通じた社会正義
1970ノーマン・ボーローグ(米)「緑の革命」── 食糧増産と飢餓の克服
1971ヴィリー・ブラント(西独)東方外交による東西の緊張緩和
1972受賞者なし
1973ヘンリー・キッシンジャー(米)/ レ・ドゥク・ト(ベトナム・受賞辞退)ベトナム和平交渉
1974ショーン・マクブライド(アイルランド)/ 佐藤栄作(日本)人権擁護/非核三原則
1975アンドレイ・サハロフ(ソ連)人権と軍縮を訴えた物理学者
1976ベティ・ウィリアムズ / マイレッド・コリガン(北アイルランド)北アイルランド紛争の草の根平和運動
1977アムネスティ・インターナショナル良心の囚人の擁護
1978アンワル・サダト(エジプト)/ メナヘム・ベギン(イスラエル)キャンプ・デービッド合意
1979マザー・テレサ(インド)最も貧しい人々への奉仕
1980アドルフォ・ペレス・エスキベル(アルゼンチン)中南米の人権擁護
1981国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)難民保護(2度目)
1982アルバ・ミュルダール(スウェーデン)/ アルフォンソ・ガルシア・ロブレス(メキシコ)核軍縮交渉
1983レフ・ワレサ(ポーランド)「連帯」による非暴力の民主化運動
1984デズモンド・ツツ(南アフリカ)アパルトヘイトへの非暴力抵抗
1985核戦争防止国際医師会議(IPPNW)核戦争の医学的帰結の啓発
1986エリ・ヴィーゼル(米)ホロコーストの記憶の証言者
1987オスカル・アリアス・サンチェス(コスタリカ)中米和平合意
1988国連平和維持軍(PKO)紛争地域での平和維持活動
1989ダライ・ラマ14世(チベット)非暴力によるチベット問題解決の訴え
1990 – 2009 冷戦後の時代 ── 民主化・和解・地球規模の課題へ
1990ミハイル・ゴルバチョフ(ソ連)冷戦終結への貢献
1991アウンサンスーチー(ミャンマー)民主化への非暴力闘争
1992リゴベルタ・メンチュウ(グアテマラ)先住民族の権利擁護
1993ネルソン・マンデラ / F.W.デクラーク(南アフリカ)アパルトヘイトの平和的終結
1994ヤーセル・アラファト / シモン・ペレス / イツハク・ラビンオスロ合意による中東和平の試み
1995ジョセフ・ロートブラット / パグウォッシュ会議科学者による核廃絶運動
1996カルロス・ベロ / ジョゼ・ラモス=ホルタ(東ティモール)東ティモール紛争の公正な解決
1997地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)/ ジョディ・ウィリアムズ対人地雷禁止条約の実現
1998ジョン・ヒューム / デヴィッド・トリンブル(北アイルランド)ベルファスト合意
1999国境なき医師団(MSF)国境を越えた人道医療
2000金大中(韓国)太陽政策 ── 南北和解への努力
2001国際連合 / コフィー・アナンより組織的で平和な世界への活動
2002ジミー・カーター(米)数十年にわたる紛争調停と人権活動
2003シーリーン・エバーディー(イラン)女性と子どもの人権擁護
2004ワンガリ・マータイ(ケニア)持続可能な開発・民主主義・平和 ──「MOTTAINAI」
2005国際原子力機関(IAEA)/ モハメド・エルバラダイ原子力の軍事転用防止
2006ムハマド・ユヌス / グラミン銀行(バングラデシュ)マイクロクレジットによる貧困からの平和
2007IPCC / アル・ゴア気候変動に関する知識の普及
2008マルッティ・アハティサーリ(フィンランド)30年にわたる国際紛争調停
2009バラク・オバマ(米)国際外交と「核なき世界」への呼びかけ
2010 – 2025 いまの時代 ── 民主主義・情報・核なき世界のために
2010劉暁波(中国)基本的人権を求める非暴力の闘い
2011エレン・ジョンソン・サーリーフ / リーマ・ボウイー(リベリア)/ タワックル・カルマン(イエメン)女性の安全と平和構築への参画
2012欧州連合(EU)60年にわたる欧州の平和・和解・民主主義
2013化学兵器禁止機関(OPCW)化学兵器の廃絶
2014マララ・ユスフザイ(パキスタン)/ カイラシュ・サティーアーティ(インド)子どもの権利と教育のための闘い
2015チュニジア国民対話カルテット「アラブの春」後の危機を対話で乗り越えた民主化の立役者
2016フアン・マヌエル・サントス(コロンビア)52年続いた内戦の和平合意
2017核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)核兵器禁止条約の実現
2018デニ・ムクウェゲ(コンゴ民主共和国)/ ナディア・ムラド(イラク)戦時性暴力の根絶への闘い
2019アビー・アハメド(エチオピア)エリトリアとの国境紛争の解決
2020国連世界食糧計画(WFP)飢餓との闘い ── 紛争地の平和の条件づくり
2021マリア・レッサ(フィリピン)/ ドミトリー・ムラトフ(ロシア)表現の自由を守るジャーナリズム
2022アレシ・ビャリャツキ(ベラルーシ)/ メモリアル(ロシア)/ 市民自由センター(ウクライナ)市民社会による人権の記録と擁護
2023ナルゲス・モハンマディ(イラン)女性への抑圧と闘い、人権と自由を求めて
2024日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)被爆者の証言による「核なき世界」への努力
2025マリア・コリーナ・マチャド(ベネズエラ)民主的権利の促進 ──「類いまれな勇気」

125年の系譜が繰り返し語ってきたのは、対話、和解、そして他者と共に考える力でした。
受賞者たちが生んだ手法のいくつか——ツツの真実和解委員会、ガンディーのサッティヤーグラハ、ボウイーたちの女性たちの平和運動——は、
いまも学べる実践として対話技法図鑑に収めています。
この長いリストの末尾に、小さな一行を書き加えるつもりで——私たちの持ち場は、この上のロードマップに記したとおりです。

出典・全受賞者の詳細:NobelPrize.org — Nobel Peace Prize