未来のリスク計算機シリーズ(全8本)の、共通の前提・出典・免責・ライセンス・変更履歴をまとめたページです。どれも簡易な試算であり、正確な予測ではありません。おかしな点があれば、ぜひ教えてください。いただいたご意見を反映しながら育てていきます。
ver 1.32026年7月20日 現在
この計算機は、答えを出すための道具ではありません。「なんとなく不安」「まだ先の話」を、いったん具体的な年に置き換えて、話し合いを始めるための道具です。出てきた年が2038年でも2045年でも、本当に大事なのはその後の会話のほうです。
扱っているのは、どれも適応課題(正解を当てはめれば済む問題ではなく、関わる人の考え方そのものが変わらないと解けない課題)です。学校を残すか統合するか、介護の担い手をどうするか、技能を誰に継ぐか──立場によって大切にするものが違うからこそ、誰かが正解を配るのではなく、当事者が納得を作る対話が要ります。
私たちは、どの結論も勧めていません。統廃合を進めるためにも、止めるためにも使えます。どちらの立場の人にも同じ数字を見てもらい、そこから話を始めてもらうことを願って公開しています。数字を「議論を終わらせる道具」として使われることが、この計算機にとって一番の失敗です。
同じ人口減少を、社会・組織・個人という3つの距離から見ています。どこから見ても同じ現象ですが、打ち手を持っている人が違います。
打ち手を持っているのは、自治体・議会・地域の当事者です。ひとつの組織では決められない代わりに、決めた影響が長く残ります。
打ち手を持っているのは、経営・人事・現場のリーダーです。自分たちで決められる範囲が広い分、先送りの代償も自分たちに返ってきます。
打ち手を持っているのは、自分自身と家族です。動かせる額は小さく見えても、時間を味方につけられるのはこの層です。
※ 3つの層は、きれいに分かれるものではありません。介護の支え手(06)は社会の課題であると同時に、自分の家族の課題でもあります。会社の採用難(02)は、そのまちの人口減少の裏返しです。層は「まず誰と話すか」の目安として置いています。
※ 名前の強さを、あえて揃えていません。企業の会議で使う計算機(01・02・04)は、危機感を共有しやすいよう強い名前のままにしています。学校・介護・老後の家計など、暮らしに近い計算機は、結論を先取りしないよう中立の名前にしています。
計算機は、しばしば「着手の期限は、すでに◯年過ぎています」と表示します。ここでは、そう出たときに実際に何が残っているかを書きます。
まず、組み替えが要ります。「手遅れ」は状態ではなく、目標との関係で決まります。同じ現場が、元の姿のまま維持するには手遅れでも、軟着陸させるにはまだ間に合い、同じ失敗を次で繰り返さないためには十分間に合います。計算機が言っているのは、あくまで「いまの打ち手で、いまの目標に間に合わせる」ことに対して手遅れだということです。目標を動かせば、手遅れではなくなります。だから最初にやるのは、打ち手探しではなく目標の置き直しです。
実務的には、ここがいちばん大きいかもしれません。最悪なのは手遅れになることではなく、手遅れなのに「まだ間に合う」前提の対策に資源を注ぎ続けることです。構造的に採用が無理な状況で採用広告費を増やし続ける。継承が間に合わないのに、従来どおりのOJT計画を回し続ける。間に合わない打ち手に払うコストは、全額が損失になります。
手遅れだと確定すれば、その投資を止めて、上の5つに資源を回せます。計算機が「過ぎています」と出すことの本当の効用は、絶望させることではなく、これ以上つぎ込むのをやめる判断に、根拠を与えることです。
間に合っているうちは「どうやるか」の話で済みます。間に合わなくなると、「何を諦め、何を守るか」という価値の選択しか残りません。これは正解を配れないので、当事者が納得を作るしかない。つまり技術的な解決が尽きた後に残るものが、まさに適応課題です。「もう遅いから対話している場合ではない」は逆で、遅いからこそ対話以外に方法がなくなります。
手遅れが判明した直後、組織はほぼ確実に犯人探しを始めます。「なぜ誰も言わなかったのか」と。これを始めると、残っている時間まで失います。そして実際のところ、原因は「誰も決めなかった」ことより「決める場がなかった」ことのほうが多いものです。だから手遅れの後に最初にやるべきは、犯人探しではなく、決める場を作ることです。
5つのうち「絞る」と「軟着陸させる」は、結局のところ、立場の違う人たちが納得を作れるかどうかにかかっています。決めきれないのは、多くの場合その人たちの能力の問題ではなく、決める場がないという構造の問題です。工房がやっているのは、その場をつくる仕事です(対話力向上プログラム/組織開発プログラム。まず一度試すなら体験会があります)。もっとも、この計算機を囲んで自分たちだけで話が進むなら、それが一番です。
この計算機を使うと、たいてい気持ちが重くなります。けれど、同じ数字を前にして「では、どうするか」の仕組みを作った場所が、日本にも海外にもあります。うまくいった話だけでなく、うまくいかなかった話も並べます。どれも「正解」ではなく、参考になる先例です。
並べてみると、共通しているのは「誰かが将来世代の側に立って発言する場を、意識して作っている」ことです。放っておくと、目の前の利害を持つ人の声だけが大きくなるからです。矢巾町の実験が示しているのは、そのために特別な人が要るわけではない、ということでもあります。同じ町民が、立場を変えて話しただけでした。
1. 簡易モデルです。いずれも数個の変数で組んだ単純な計算で、専門機関の需給推計や財政推計とは別物です。現実には無数の要因が絡みます。
2. 「何もしなかった場合」を描いています。対策を打てば線は変わります。むしろ変えるために使ってください。出てきた年は「予言」ではなく「このままなら」の話です。
3. 入力した数字は、どこにも送信されません。すべてブラウザの中だけで計算しています(アクセス解析でページの閲覧数は取得していますが、入力値は一切送信・保存していません)。安心して実際の数字を入れてください。
4. すでに決まっている部分と、想定の部分があります。すでに生まれた人の数は動きません(例:2032年に小学校へ入学する子は、もう全員生まれています)。一方で出生数の今後や退職の動きは想定です。ただし計算機がその実数を持っているとは限りません。多くは入力された数字からの近似で、各ページの但し書きにどこまでが近似かを書いています。
5. 技術や制度が変われば、前提そのものが変わります。どの計算機も「いまのやり方、いまの生産性が続く」という前提で計算しています。たとえば介護の計算機は、要介護の人ひとりを支えるのに必要な職員数を、2120年まで同じだと置いています。100年間、介護のやり方がまったく変わらないという前提です。現実には介護ロボットや自動化、制度の変更、働き方の変化が起こりえます。その意味で、ここに出る年は決定論ではありません。
ただし、ひとつ注意が要ります。「いつか技術が解決する」は、打ち手にはなりません。いつ実用になるか分からないものには、リードタイム(着手から効き始めるまでの年数)を見積もれないからです。しかも技術が現れてから現場で使えるようになるまでにも、また時間がかかります。技術に期待するのは自由ですが、期待を計画の代わりにすると、期限だけが静かに過ぎていきます。技術は「来たら前提が変わるもの」であって、「来るのを待つもの」ではない、というのがこの計算機の立場です。
人口などの数値は、下記の公的統計をもとにした近似値です。原典の数字をそのまま転記しているわけではなく、計算しやすいよう丸めたり、区間を補間したりしています。正確な数字が必要な場合は必ず原典をご確認ください。
※ 将来推計人口はおおむね5年ごとに更新されます。新しい推計が公表された際に数値を見直す予定です(次回見直しの目安:社人研の次期推計の公表時)。なお2071年以降は、同研究所が「長期の人口推移分析の参考」として公表している長期参考推計(出生率・生残率等を2071年以降一定と置いたもの)を使っています。基本推計より前提が粗いことにご留意ください。
本計算機が示す数値は簡易な試算であり、将来を予測・保証するものではありません。前提条件が変われば結果も変わります。
本計算機の結果を用いてなされた判断・意思決定およびその結果について、きづきくみたて工房は一切の責任を負いかねます。経営判断・人事判断・行政上の判断など、重要な意思決定にあたっては、必ず専門家にご相談のうえ、原典のデータをご確認ください。
また、掲載している数値・前提は予告なく変更することがあります。会議資料などに引用される場合は、版(ver)と参照日を併記していただくと、後日の食い違いを防げます。
本シリーズは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0) で公開しています。非営利での利用・改変・再配布は、クレジット表記と同条件での公開を条件に自由です。授業・地域の話し合い・自主的な勉強会など、営利を目的としない場ではどうぞお使いください。
お願い1:改変したら、その旨を明記してください。数字や前提を変えた版を、当工房の試算であるかのように示さないでください。改変した事実を書いていただければ、自由に手を加えていただいて構いません(これはライセンス上の義務でもあります)。
お願い2:商用利用は事前にご相談ください。研修・コンサルティング等の営利目的でお使いになる場合は、お問い合わせください。「これは商用にあたるだろうか」と迷った場合も、お気軽にご相談いただければお答えします。
数字や前提に変更があった場合は、ここに記録していきます。会議資料などに引用された数字が後で変わったとき、どの版のものかを確認できるようにするためです。
ver 1.3 ─ 2026年7月20日
ver 1.2 ─ 2026年7月18日
ver 1.1 ─ 2026年7月16日
ver 1.0 ─ 2026年7月15日
この計算機は完成品ではありません。前提の置き方、認定率や係数の妥当性、言葉づかい、「自分の業界だとここが違う」といった実感まで、どんなご指摘でも歓迎します。いただいたご意見は次の版に反映し、上の変更履歴に記録します。専門家の方からのご指摘は特にありがたいです。
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