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未来のリスク計算機

この計算機を、信じすぎないために

未来のリスク計算機シリーズ(全6本)の、共通の前提・出典・免責・ライセンス・変更履歴をまとめたページです。どれも簡易な試算であり、正確な予測ではありません。おかしな点があれば、ぜひ教えてください。いただいたご意見を反映しながら育てていきます。

ver 1.02026年7月15日 現在

数字は「結論」ではなく、「対話の入口」です

この計算機は、答えを出すための道具ではありません。「なんとなく不安」「まだ先の話」を、いったん具体的な年に置き換えて、話し合いを始めるための道具です。出てきた年が2038年でも2045年でも、本当に大事なのはその後の会話のほうです。

扱っているのは、どれも適応課題(正解を当てはめれば済む問題ではなく、関わる人の考え方そのものが変わらないと解けない課題)です。学校を残すか統合するか、介護の担い手をどうするか、技能を誰に継ぐか──立場によって大切にするものが違うからこそ、誰かが正解を配るのではなく、当事者が納得を作る対話が要ります。

私たちは、どの結論も勧めていません。統廃合を進めるためにも、止めるためにも使えます。どちらの立場の人にも同じ数字を見てもらい、そこから話を始めてもらうことを願って公開しています。数字を「議論を終わらせる道具」として使われることが、この計算機にとって一番の失敗です。

数字を、対話や政策に変えている場所があります

この計算機を使うと、たいてい気持ちが重くなります。けれど、同じ数字を前にして「では、どうするか」の仕組みを作った場所が、日本にも海外にもあります。うまくいった話だけでなく、うまくいかなかった話も並べます。どれも「正解」ではなく、参考になる先例です。

仮想将来世代になって話し合う ― 岩手県矢巾町(フューチャー・デザイン)
参加者の一部が「数十年先の住民になりきって」議論する手法です。矢巾町では2015年度に約6か月の討議を実施し、町民を現世代グループと仮想将来世代グループに分けて、それぞれ別々にまちの計画を検討したうえで、最後に両者で合意形成を行いました。結果として、最終的な合意案の半数以上が、仮想将来世代グループの提案から採られました。同じ町民が、立場を変えるだけで違う結論を出したということです。町は2019年に「未来戦略室」、2023年に「未来戦略課」を置いて、この考え方を町政に組み込んでいます。手法は高知工科大学フューチャー・デザイン研究所の西條辰義さんらが提唱したものです。RIETI(経済産業研究所)の解説矢巾町 未来戦略課西條辰義「フューチャー・デザイン」(2018)
「統合ありき」にしない ― 文部科学省の学校統廃合の手引き
05の計算機に関わる話です。国の手引き(2015年1月)は、統廃合を推進するための文書ではありません。「学校統合により魅力ある学校づくりを行う場合や、小規模校のデメリットの克服を図りつつ学校の存続を選択する場合等の複数の選択がある」と明記し、判断するのは市町村教育委員会だとしています。数字が出ても、選択肢は二つではありません。文部科学省「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」
長期の見通しを、全自治体に義務づける ― 公共施設等総合管理計画
2014年4月、総務省は全国の自治体に、公共施設の総合的・計画的な管理の計画を作るよう要請しました。人口減少と施設の老朽化を数十年単位で見通し、「このままでは持たない」を先に可視化させる仕組みです。つまり、この計算機がやっていることの本番は、すでに全自治体の義務になっています。お住まいの自治体の計画は公表されているので、実際の数字はそちらで確認できます。総務省 公共施設等総合管理計画(各団体の公表状況)
将来世代の代弁者を、法律で置く ― ウェールズ(英国)
2015年の「将来世代の幸福法(Well-being of Future Generations (Wales) Act 2015)」で、将来世代コミッショナーという法定の役職を置きました。公的機関は勧告に「従うためあらゆる合理的手段を講じる」義務を負い、従わない場合は理由と代替案を公表しなければなりません(強制はできません)。法は2026年時点も施行中です。
ただし、効果は限定的だという公式評価もあります。ウェールズの会計検査機関は2025年、10年間を振り返って「法は注目度を高めたが、意図された制度全体の変化は起こしていない」と結論しました。仕組みを作れば変わる、という単純な話ではないようです。法令原文(legislation.gov.uk)Audit Wales「No time to lose」(2025)
続かなかった例 ― イスラエルの未来世代委員会
2001年に議会(クネセト)に置かれ、法案を遅らせる権限まで持っていましたが、2006年に後任が任命されず、事実上活動を終えました。議事に残る理由は「権限が強すぎる」「コストがかかる」。将来世代のための仕組みは、作っても続くとは限りません。この計算機も同じで、置いておくだけでは何も変わりません。クネセト調査資料(英語・PDF)

並べてみると、共通しているのは「誰かが将来世代の側に立って発言する場を、意識して作っている」ことです。放っておくと、目の前の利害を持つ人の声だけが大きくなるからです。矢巾町の実験が示しているのは、そのために特別な人が要るわけではない、ということでもあります。同じ町民が、立場を変えて話しただけでした。

すべてに共通する4つの前提

1. 簡易モデルです。いずれも数個の変数で組んだ単純な計算で、専門機関の需給推計や財政推計とは別物です。現実には無数の要因が絡みます。

2. 「何もしなかった場合」を描いています。対策を打てば線は変わります。むしろ変えるために使ってください。出てきた年は「予言」ではなく「このままなら」の話です。

3. 入力した数字は、どこにも送信されません。すべてブラウザの中だけで計算しています(アクセス解析でページの閲覧数は取得していますが、入力値は一切送信・保存していません)。安心して実際の数字を入れてください。

4. すでに決まっている部分と、想定の部分があります。すでに生まれた人の数は動きません(例:2032年に小学校へ入学する子は、もう全員生まれています)。一方で出生数の今後や退職の動きは想定です。ただし計算機がその実数を持っているとは限りません。多くは入力された数字からの近似で、各ページの但し書きにどこまでが近似かを書いています。

使っているデータの出典

人口などの数値は、下記の公的統計をもとにした近似値です。原典の数字をそのまま転記しているわけではなく、計算しやすいよう丸めたり、区間を補間したりしています。正確な数字が必要な場合は必ず原典をご確認ください。

01 顧客の平均年齢時限爆弾
年齢帯別の死亡率 ─ 厚生労働省「簡易生命表」の近似値
02 採用市場消滅計算機
22歳人口(=22年前の出生数)─ 厚生労働省「人口動態統計」の実績値
03 税収カウントダウン
人口・財政の数値は利用者が入力したもので、外部の統計データは使っていません。加齢にともなう年齢帯別の死亡率のみ、厚生労働省「簡易生命表」の近似値を使っています
04 技能承継時限爆弾
外部データは使っていません。すべて利用者が入力した数字だけで計算しています
05 学校統廃合カウントダウン
出生数は利用者が入力したもので、外部の統計データは使っていません(過去の年の出生数も、いまの出生数と同じだったと仮定した近似値です)。学級編制の考え方は 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(義務教育標準法)を参照していますが、ページ内の「48人・24人」はあくまで目安で、実際の基準は各自治体の方針で異なります
06 介護の支え手計算機
人口 ─ 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2023年推計・出生中位)」の近似値/要介護認定率・介護職員数 ─ 厚生労働省「介護保険事業状況報告」の概数

※ 将来推計人口はおおむね5年ごとに更新されます。新しい推計が公表された際に数値を見直す予定です(次回見直しの目安:社人研の次期推計の公表時)。

免責事項

本計算機が示す数値は簡易な試算であり、将来を予測・保証するものではありません。前提条件が変われば結果も変わります。

本計算機の結果を用いてなされた判断・意思決定およびその結果について、きづきくみたて工房は一切の責任を負いかねます。経営判断・人事判断・行政上の判断など、重要な意思決定にあたっては、必ず専門家にご相談のうえ、原典のデータをご確認ください。

また、掲載している数値・前提は予告なく変更することがあります。会議資料などに引用される場合は、版(ver)と参照日を併記していただくと、後日の食い違いを防げます。

ライセンス ― 使ってください、ただし2つだけお願いがあります

本シリーズは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0) で公開しています。非営利での利用・改変・再配布は、クレジット表記と同条件での公開を条件に自由です。授業・地域の話し合い・自主的な勉強会など、営利を目的としない場ではどうぞお使いください。

お願い1:改変したら、その旨を明記してください。数字や前提を変えた版を、当工房の試算であるかのように示さないでください。改変した事実を書いていただければ、自由に手を加えていただいて構いません(これはライセンス上の義務でもあります)。

お願い2:商用利用は事前にご相談ください。研修・コンサルティング等の営利目的でお使いになる場合は、お問い合わせください。「これは商用にあたるだろうか」と迷った場合も、お気軽にご相談いただければお答えします。

変更履歴

数字や前提に変更があった場合は、ここに記録していきます。会議資料などに引用された数字が後で変わったとき、どの版のものかを確認できるようにするためです。

ver 1.0 ─ 2026年7月15日

  • 版の管理を開始しました(全6本)。
  • 前提・出典・免責・ライセンス・変更履歴をこのページに集約しました。
  • 「数字を、対話や政策に変えている場所があります」を追加しました(矢巾町のフューチャー・デザイン、文部科学省の学校統廃合の手引き、公共施設等総合管理計画、ウェールズの将来世代法とその公式評価、イスラエルの廃止例)。

おかしいと思ったところを、教えてください

この計算機は完成品ではありません。前提の置き方、認定率や係数の妥当性、言葉づかい、「自分の業界だとここが違う」といった実感まで、どんなご指摘でも歓迎します。いただいたご意見は次の版に反映し、上の変更履歴に記録します。専門家の方からのご指摘は特にありがたいです。

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本シリーズは CC BY-NC-SA 4.0 で公開しています。ver 1.0(2026年7月15日)