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世界の成功と失敗事例集A CASEBOOK OF FORKS IN THE ROAD

成功と失敗の分岐点を見極める

─ 成功と失敗を、同じ重さで収蔵するケースブック
分岐点に立つ旅人。金色の道が二股に分かれ、片方は緑の木へ、片方は灰色に薄れていくイラスト

世に出回る事例は、成功したものばかりです。沈んだ船は、航海術の本に載りません。だからわたしたちは、生き残った船だけを見て、航路を選んでしまいます。

この事例集は、成功と失敗を必ず併記します。よく似た二つの取り組みが、なぜ違う場所へたどり着いたのか。両者を分けた「分岐点」を特定し、そこで働いていた苦手と、効いていた知恵を図鑑へ逆引きします。

事例は、真似るためのものではありません。両方の航路を見て、分岐点で成功の側を選ぶ目を育てるためのものです。
01

読む前の、三つの約束

『ホモ・サピエンスの苦手図鑑』の「読む前の、三つの前提」と対になる、この事例集の編集方針です。

約束一:失敗を、成功と同じ棚に置きます

成功事例だけを集めた棚は、それ自体が一つのバイアスです。この事例集では、すべてのテーマで成功と失敗を併記します。どちらか片方しか見つからないテーマは、収蔵しません。

約束二:失敗した人を、名指ししません

成功事例は、実名と出典を明記します。失敗事例は原則として、複数の実例から合成した「典型パターン」として匿名で描きます。例外は、公的な調査報告や広く報道され、すでに公知となっている失敗のみです。責めるためではなく、分岐点を学ぶための棚だからです。

約束三:犯人ではなく、仕様をさがします

失敗の原因を、個人の資質に求めません。そこで働いていたのは、たいてい『ホモ・サピエンスの苦手図鑑』に収蔵された仕様です。事例の末尾には必ず、働いていた苦手と、効いた知恵への逆引きをつけます。

出典の考え方は、当工房の事実の台帳と同じ方針です。実名で扱う事実には、確かめられる出典を添えます。

02

事例カードの読み方

各事例のページは、次の四部構成で書かれています。

光景

何が起きたか。成功の航路と失敗の航路を併記します。

分岐点

両者の運命を分けた、具体的な判断・構造・タイミング。

逆引き

そこで働いていた苦手(→苦手図鑑)と、効いた知恵(→知恵の図鑑たち)。

処方箋の入口

同じ分岐点に立つ人のための、次の一歩。

個

個人の事例

キャリア・暮らし・家族。打ち手を持つのは、自分自身。

組

組織の事例

会社・学校・チーム。打ち手を持つのは、経営・人事・現場。

社

社会の事例

地域・自治体・コミュニティ。打ち手を持つのは、そこに住む当事者。

03

事例一覧

焼印は「個・組・社」の三種。気になる分岐点から読んでください。

社
No.001

商店街の立て直し

成功:土地の所有と利用を分けて再生した街(高松丸亀町)
失敗:ハード先行で合意形成を飛ばしたアーケード改修

再開発した街と、アーケードだけ替えた街。よく似た二つの商店街の運命を分けたものは何だったのでしょうか。

分岐点:建物より先に、地権者の対話に時間を使ったか
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組
No.002

研修の成功と失敗

成功:前後を設計し、現場の行動が変わった研修
失敗:当日だけを設計し、感想文で終わった研修

行動が変わった研修と、感想文で終わった研修。同じ講師・同じ内容でも、結果は正反対になりえます。

分岐点:研修の前後を設計したか、当日だけを設計したか
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個
No.003

キャリアの転機

成功:出世の一本道から「降りて」幸せになった人
失敗:地位の競り上がりから降りられず、消耗した人

降りて幸せになった人と、しがみついて消耗した人。分けたのは能力ではなく、評価軸の持ち方でした。

分岐点:評価軸を一本から多本に組み替えられたか
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組
No.004

理念の策定

成功:11万人との対話からパーパスをつくった会社(ソニー)
失敗:密室で策定され、額縁で終わった理念

社員とつくった理念と、社員に配った理念。文面はよく似ていても、数年後の景色はまるで違います。

分岐点:理念を社員とつくったか、社員に配ったか
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組
No.005

理念の浸透

成功:クレドを毎日の問いかけと決裁権で生かすホテル(リッツ・カールトン)
失敗:カード配布と朝礼の唱和で終わったクレド

毎日問いかけた会社と、唱和で終わった会社。社員は掲示物と評価表が食い違うとき、評価表を信じます。

分岐点:理念を日々の判断に接続したか、唱和と掲示で終えたか
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組
No.006

パーパス経営と風土改革

成功:対話と手挙げ制で15年かけて風土を変えた会社(丸井グループ)
失敗:ポスターと早すぎる勝利宣言で終わった風土改革

仕組みまで変えた会社と、言葉だけ替えた会社。風土は発表イベントの熱ではなく、意思決定の回路が変わったときに変わります。

分岐点:意思決定の仕組みまで変えたか、掲げる言葉だけ替えたか
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組
No.007

評価制度の改訂

成功:年次評価を廃止し、高頻度の対話に置き換えた会社(アドビ)
失敗:制度だけ輸入し、評価者を訓練しなかった改訂

対話とセットで変えた会社と、制度だけ差し替えた会社。分けたのは制度の様式ではなく、評価の目的の定義でした。

分岐点:評価を育成の対話につくり替えたか、点のつけ方だけ替えたか
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組
No.008

縦割りの解消

成功:評価と場の仕組みごと変えた会社(マイクロソフト、トヨタ)
失敗:懇親会とツール導入だけで空転した縦割り対策

仕組みで橋を架けた会社と、交流イベントに頼った会社。壁の正体は性格ではなく、数万年ものの仕様でした。

分岐点:部門の壁に仕組みの橋を架けたか、交流の場だけを増やしたか
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組
No.009

目標設定と目標管理

成功:目標を全社公開し、対話でつないだ会社(花王、メルカリ)
失敗:期初に書いて期末まで見ない「書きっぱなし目標」

対話の道具にした会社と、提出書類で終わった会社。8割近くの人が「その場しのぎの目標」を書いた経験があります。

分岐点:目標を対話の道具にしたか、提出する書類にしたか
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組
No.010

おもしろ人事制度

成功:思想から制度を育てた会社(サイボウズ、カヤック)
失敗:話題づくり先行で、誰も使わなかったユニーク制度

思想から生まれた制度と、話題づくりで終わった制度。制度の生死を分けるのは、おもしろさではありませんでした。

分岐点:制度を自社の思想から育てたか、他社の話題から借りたか
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組
No.011

1on1の定着

成功:週1回30分を十年以上続けている会社(ヤフー)
失敗:全社一斉に配って、半年で薄れた1on1

続いた会社と、形だけ残った会社。分けたのは意識の高さではなく、始める前に用意したものでした。

分岐点:導入の日ではなく、三ヶ月後の続け方を先に設計したか
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社
準備中

学校統廃合の分かれ道

COMING SOON

統合して良くなった地域と、こじれた地域。学校の分岐点と接続する事例です。

組
準備中

離職が止まった会社、止まらなかった会社

COMING SOON

辞める理由の多くは人間関係。離職防止プログラムと接続する事例です。

社
準備中

住民参加のくじ引き民主主義

COMING SOON

機能した市民会議と、儀式で終わった市民会議。合意形成図鑑と接続する事例です。

04

逆引き ─ いま、この分岐点に立っているなら

いま立っている分岐点から、読む事例を引けます。事例が増えるたびに、この表も育ちます。

いま立っている分岐点読む事例併せて読む図鑑
商店街・地域の再生を任されたNo.001 商店街の立て直し合意形成図鑑
研修の予算を来期も取りたい/効果を問われているNo.002 研修の成功と失敗教育の費用対効果図鑑
昇進・転職・独立で迷っているNo.003 キャリアの転機生涯キャリア図鑑
理念やパーパスの策定を任されたNo.004 理念の策定合意形成図鑑
理念が「額縁」になっている/浸透施策を考えているNo.005 理念の浸透世界の対話の技法図鑑
パーパス経営への転換・風土改革の担当になったNo.006 パーパス経営と風土改革システム思考図鑑
評価制度の見直しを任されたNo.007 評価制度の改訂1on1の成功と失敗の図鑑
部門間の連携が悪い/縦割りを何とかしたいNo.008 縦割りの解消合意形成図鑑
目標管理が形骸化している/OKR導入を検討中No.009 目標設定と目標管理1on1の成功と失敗の図鑑
ユニークな制度・福利厚生を検討しているNo.010 おもしろ人事制度ホモ・サピエンスの知恵図鑑
1on1を導入した/導入するが、続くか不安があるNo.011 1on1の定着1on1の成功と失敗の図鑑
1on1が形骸化している/実施率だけが報告されているNo.011 1on1の定着1on1図鑑「形骸化」の逆引き

事例は、地図ではなく羅針盤。

他所の成功をそのまま持ち込んでも、たいてい根づきません。土が違うからです。けれど「分岐点で何が働いていたか」は、土が違っても持ち運べます。あなたの現場の分岐点を、一緒に見立てるところから始めます。

このシリーズの紹介と全事例の一覧をまとめたA4一枚もの(PDF)もあります:社内検討用にダウンロード無料・登録不要/出典表記のままご利用ください(CC BY-NC-SA 4.0)

このシリーズの出典ポリシーとライセンス(クリックで開く)

成功事例は、公式サイト・公的資料・書籍など確かめられる出典を各事例ページに明記しています。失敗事例は原則として、複数の実例をもとに再構成した匿名の「典型パターン」です(実在する特定の団体・個人を描いたものではありません)。
本シリーズのテキストは CC BY-NC-SA 4.0(表示・非営利・継承)で公開しています。稟議用要約PDFは、出典表記のまま社内検討・会議資料への添付にご利用いただけます。発行者情報は事実の台帳をご覧ください。