「1on1、意味なくない?」と思ったら
その直感は、たぶん正しい。意味のない1on1は実在する。ただし原因は、あなたや相手の資質ではない。よくある構造は三つある。
ひとつ、評価面談と混ざっている。話すほど査定に響く場で、本音が出るはずがない。ふたつ、目的が誰にも説明されていない。「会社がやれと言うから」の時間は、双方にとって持ち出しである。みっつ、実施率だけが人事に報告され、中身は誰も見ていない。意味がないのは1on1という道具ではなく、それが置かれた環境のほうだ。
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話すことがなくなったら
ネタ切れは、続いている証拠でもある。ただし「今週何かある?」から始まる1on1は、アジェンダの持ち主が聞く側になっている。
この時間の主役は話す側であり、話題は話す側から持ち込まれる設計になっていなければ、いずれ雑談か沈黙に行き着く。話すことがないのではない。話すことを持ち込む仕組みがないのだ。
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制度はあるのに、形骸化していたら
導入初月は全員やっていた。半年後、カレンダーには残っているが、中身は進捗確認に戻っている——これは意志の弱さではなく、行動科学でいう「環境要因」の欠落である。
ギルバート(トーマス・ギルバート/行動工学モデル(BEM)の提唱者。人の成果を個人の資質と環境の両面から分析した)によれば、行動が続かない原因の大半は個人の知識や意欲ではなく、情報・道具・仕組みといった環境の側にある。形骸化は怠慢の別名ではなく、続ける理由が環境に埋め込まれていない、という診断名だ。
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部下が話してくれなかったら
沈黙は拒絶ではなく、多くの場合は安全性の計算結果である。「正直に話しても損をしない」と確信できるまで、人は当たり障りのないことしか言わない。これはホモ・サピエンスの仕様であって、その人の性格ではない。
権威の勾配がある場では、聞く側が先にリスクを取る——自分から弱みを見せる、評価と切り離すと宣言して実際に守る——ことでしか、天秤は動かない。
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そもそも、やり方から知りたかったら
型は存在する。ただし型だけ学んで現場に戻ると、数週間で元に戻ることも分かっている。研修転移の研究が繰り返し示してきた事実だ。
だからこの図鑑は、やり方と一緒に「続かなかった実例」を併記している。始める前に、失敗標本のほうから読んでほしい。自分が踏みそうな順に、心当たりが並んでいるはずだ。
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